iPhone XR レビュー!廉価版ではなくXSの良いところ取りをしたコスパに優れたiPhone!

2018年10月26日より発売を開始したiPhone XRを手に入れたのでファーストインプレッションをお届けしたい。iPhone XRは数多くのカラーバリエーションを選ぶことができるモデルとなっていたが、今回はProduct(RED)の64GBモデルを手に入れた。

iPhone XR ファーストインプレッション

Contents

iPhone XR Product RED レビュー

iPhone XRは2018年モデルのiPhoneの中では最も安い価格帯となったモデルだ。

先に発売されたiPhone XS・iPhone XS Maxはまさに高機能・高級なiPhoneとして登場して端末価格が一番安いiPhone XSの64GBモデルでも112,800円となり、iPhone XS Maxの512GBモデルだと164,800円というMacBook Proよりも高い価格帯となるとんでもないプライスゾーンに突入することになった。

iPhone XRはiPhone 5cの失敗を活かしたモデル

そんな中でiPhone XRは64GBモデルであれば84,800円という価格で購入することができる。決して安い金額ではないが、iPhone XRはCPUプロセッサにiPhone XSと全く同じA12 Bionicプロセッサを搭載し背景をボカすことができるポートレートモードもiPhone XRでも使えるようになっており、価格が安いからといって出来ることの機能に差を付けていない戦略的なモデルになっているのは間違いないだろう。

これは過去の失敗が活きているのだろう。2013年にiPhone 5sと同時リリースされたiPhone 5cはiPhone XRと同じようにカラフルなカラーバリエーションが特徴のモデルだった。価格も少しだけ安かった。

しかし、CPUプロセッサが1世代前に採用されていたiPhone 5と同じA6プロセッサを採用するなど基本的な部分で性能差を出していたため、どうしても廉価版モデルという負のイメージを払拭することができず、結果としてiPhone 5cはあまり売れることはなかった。

そこでiPhone XRではA12 Bionicプロセッサを搭載して背景をボカすことができるポートレートモードを使えるようにするなど基本的な性能は同じにすることで廉価版というイメージを払拭したのだろう。細かいところ見れば有機ELディスプレイが液晶ディスプレイになっていたり、ダブルレンズカメラがシングルレンズカメラになっているなど性能差があることは間違いない。

iPhone XRはiPhone XSの良いとこ取りしたモデル

iPhone XR レッドモデルを手で持った感じ

簡単にiPhone XRとiPhone XS/XS Maxの性能差を比較してみた。

モデル iPhone XR iPhone XS/XS Max
ディスプレイ 6.1インチ
液晶(LCD)
XS:5.8インチ
XS Max:6.5インチ
有機EL(OLED)
解像度 1,792 x 828ピクセル(326ppi) XS:2,436 x 1,125ピクセル
XS Max:2,688 x 1,242ピクセル
(458ppi)
3D Touch 非対応
(Haptic Touchで代用)
対応
CPUプロセッサ A12 Bionic
SSDストレージ 64・128GB・256GB 64・256GB・512GB
リアカメラ 1200万画素シングルカメラ
ポートレートモードに対応
4K60p動画撮影に対応
1200万画素ダブルカメラ
ポートレートモードに対応
4K60p動画撮影に対応
フロントカメラ 700万画素
Face IDに対応
耐水防塵性能 IP67等級
水深1mに30分間耐えれる
IP68等級
水深2mに30分間耐えれる
端末価格 84,800円〜 XS:112,800円〜
XS Max:124,800円〜

これらの性能差は普通にiPhoneを使う人にとってはあまり関係のないところばかりだ。iPhone XS/XS MaxよりもiPhone XRの方が…

  • 画面解像度が低い
  • RAMの容量が3GBとなっている
  • カメラが一つしか搭載されていない
  • 耐水性能が少しだけ劣る

…といった性能差があるのも事実だ。しかし、iPhone XRでも十分に綺麗な画面だし、撮影できるカメラの画質もズーム機能を使わなければiPhone XSもiPhone XRも同じ画質だし、耐水性能も普段の生活では十分すぎるものとなっている。

つまり、iPhone XRはiPhone XSとiPhone XS Maxの良いとこ取りをしたiPhoneなのだ。iPhone XS/XS Maxはコストを気にしない人に向けたフラグシップモデル、iPhone XRは必要な機能はふんだんに取り入れて価格を抑えたモデルといっていいだろう。

iPhone XRのデザインもiPhone XS/XS Maxと同じ

iPhone XRはiPhoneの伝統だったホームボタンを廃止して認証システムとして画面上部にTrueDepthカメラを搭載することでFace IDを使えるようにした。これもiPhone XS/XS Maxと同じ仕様となっている。

iPhone XR TrueDepthカメラ

廉価版だからといって顔認証の速度が遅くなっているということはない。iPhone XRはiPhone XSと同じように快適に顔認証をしてくれるので最速で画面ロック解除をしたり、Suicaなどの交通系カードを使うことが可能となっている。

iPhone XS/XS Maxは柔軟性のある有機ELディスプレイを搭載していて角丸デザインにしたりベゼルレスにすることには容易だが、iPhone XRは柔軟性のない従来の液晶ディスプレイを搭載している。そんな中で新技術を使うことで液晶ディスプレイなのに角丸デザインにしたり、極限まで上下左右のベゼルを狭くすることに成功している。

iPhone XR ディスプレイの角丸デザイン

保護ガラスはしっかりとラウンドエッジ加工されているので、持った感触も非常に滑らか使うたびに喜びを感じさせてくれるデザインとなっている。

iPhone XRのベゼルの幅は少しだけ太い

ベゼルの幅はiPhone XRよりもiPhone XS/XS Maxの方が細くなっているが、両機を使い比べないとその差を判別することはできないだろう。実際にiPhone XRとiPhone XS/XS Maxのベゼル幅を比べてみたがどうだろうか。

iPhone XRとiPhone XSのベゼル幅の違い

確かにiPhone XRのベゼルの幅が太くなっている。この違いはこのように比較しないと分からないレベルなので、iPhoneを複数台持ちあるているような筆者のようなマニアでないと気にならないのではないだろうか。

iPhone XS/XS MaxのサイドフレームはステンレスフレームだったがiPhone XRのサイドフレームはシリーズ7000のアルミニウムが採用されている。

iPhone XRとiPhone XS サイドフレームの違い

アルミよりもステンレスの方が高級感があるのでiPhone XRとiPhone XSの雰囲気はかなり異なることになる。どちらが好みかは使う人によってかなり異なることになるが、iPhone XSのステンレスフレームは普通に使っていても細かい傷が付いてしまうのが最大のネックとなっている。

この細かい傷が味となるといってしまえばそれまでだが、このような細かい傷や指紋をあまり付けたくないのであればiPhone XRの方を選んだ方がいいのかもしれない。

iPhone XRの充電コネクタはiPhone 5から採用されているLightningコネクタが引き続き採用されている。2019年モデルからUSB-Cコネクタに変更されるのではないかという噂があるがどうなるのか気になるところだ。

iPhone XR Lightningコネクタ

なお、iPhone XS/XS Maxは左下部分に新たなアンテナラインが追加されていたが、iPhone XRにはそのアンテナラインがない。

iPhone X・iPhone XR・iPhone XS Max 比較

上からiPhone X、iPhone XR、iPhone XS Max

iPhone XS/XS Maxはギガビット級のLTE通信に対応しているが、iPhone XRは通常の4G LTE-Advancedにしか対応していないためアンテナが必要なかったものと思われる。

  • iPhone XR:LTE Cat.15(最大800Mbpos)
  • iPhone XS/XS Max:LTE Cat.16(最大1Gbpos)

とはいえ、iPhone XRのLTE通信の速度も十分に高速なので比較対象にする必要は全くないといえそうだ。デザイン的に見るとiPhone XS/XS MaxよりもiPhone XRのほうがラインが一本少ないので美しい。デザインやカラーバリエーションでiPhone XRを選ぶのもとても良い選択肢ではないだろうか。

iPhone XRの画面サイズに付いて

iPhone XRは6.1インチディスプレイを搭載していて、iPhone XSよりも大きくiPhone XS Maxよりも小さいモデルだ。ディスプレイサイズの違いを並べて比較してみよう。

iPhone XS/XS Max/XR 画面の大きさ

左からiPhone XS Max(6.5インチ)、iPhone XR(6.1インチ)、iPhone X(5.8インチ)

数字のとおりiPhone XRはiPhone XS MaxとiPhone XSの中間サイズとなっている。実は、iPhone XRの本体サイズはiPhone 8 Plusよりもコンパクトだけど画面サイズが少しだけ大きくなっている。(横幅は狭くなっているが。)そして、画面解像度の基本ポイントもiPhone XRはiPhone 8 PlusやiPhone XS Maxと同じになっているのだ。

  • 414ピクセル:iPhone XR、iPhone XS Max、iPhone 8 Plus
  • 375ピクセル:iPhone XS/X、iPhone 8

当サイトのトップ画面を各iPhoneで表示させてみるとiPhone XRはiPhone XS Maxと同じ情報量を表示させることが可能であることが分かる。iPhone XSは横幅のポイント数が低いので縦に情報量が間延びしてしまうのだ。

iPhone 画面表示の大きさ

左からiPhone XS Max、iPhone XR、iPhone X

つまり、iPhone XRはiPhone XS MaxやiPhone 8 Plusとほぼ同じ作業エリアを確保することができる。サイズや画面の大きさから見るとおそらくiPhone 8 Plusを使っていたユーザーがiPhone XRにすると違和感なく乗り換えることができるのではないだろうか。

液晶と有機ELの違いについて

iPhone XS/XS Maxは有機ELディスプレイを搭載しているが、iPhone XRは液晶ディスプレイが搭載している。有機ELディスプレイは自発光型のディスプレイで赤・青・緑・黒といったカラーがとても鮮やかに表現することが可能となっている。

とはいえ、iPhone XRの液晶ディスプレイもかなり綺麗な画質となっているので全く問題はないだろう。なお、iPhone XRの方が少しだけ青っぽい色合いになっているように見える。iPhone XRとiPhone XS Maxのディスプレイの色合いの違い

斜めから見ると有機ELディスプレイのiPhone XS Maxはほとんど色合いが変化しないのに対して、液晶ディスプレイのiPhone XRは少しだけ色が変化し暗く見えてしまう。

有機ELと液晶 斜めから見た色合い

このような違いはあるが、iPhoneの場合はほとんど正面から使うことが多いのでほとんど気にする必要がないし、むしろ覗き見される問題はiPhone XRの方が良いということになるだろう。(覗き見防止にはならないけど。)

iPhone XRは3D Tuochが使えない

iPhone XRは3D Touchが非対応になった。3D TouchはiPhone 6s/6s Plusから標準搭載されている機能でアイコンなどをグッと強く押し込むことでサブメニューを表示したり、文字入力中にスペースボタンを強く押し込むことでカーソルを移動させることができる機能だ。何気なく使っている3D Touchの機能だが、iPhone XRでは使えなくなってしまった。

とはいえ、iPhone XRは「スペースキー」や「空白」を長押しすることで3D Toucuと同じようにカーソルを移動させることができるHaptic Touchに対応しているので、3D Touchがなくてもそんなに困ることはないだろう。

Haptic Touchで代用することができる機能は以下の通りだ。

  • 文字入力中のカーソルの移動
  • ウェジェット画面のメニューの拡大

ホーム画面に表示されているアプリを長押してもサブメニューを表示させることはできずアプリがぶるぶると震えてしまうのでアイコンからサブメニューを起動して使用していたユーザーは注意をする必要があるだろう。

iPhone XR Haptic Touch

アプリ間の切り替えについてはiPhone XRは画面下のバーを横にスライドするだけで簡単に切り替えできるので3D Touchが使えないとしても全くもって問題はない。

iPhone XRのシングルカメラの画質はiPhone XSとほぼ同じ性能

iPhone XR シングルカメラ

iPhone XS/XS Maxは二つのカメラを搭載したダブルレンジカメラ仕様となっているが、iPhone XRは一つのカメラを搭載したシングルレンズカメラ仕様となっている。iPhone XSとiPhone XRの大きな違いの一つといってもいいだろう。

しかし、iPhone XRに採用されているイメージセンサーはiPhone XS/XS Maxと全く同じものが採用されているので、ズーム機能を使わないのであれば画質の差はない。

モデル iPhone XR iPhone XS/XS Max
広角カメラ 1200万画素(大きくなったイメージセンサー)
f1.8の明るさのレンズ
望遠カメラ 1200万画素
f2.4の明るさのレンズ

こちらの画像はiPhone XRとiPhone XS Maxで撮り比べたものだが、ほぼ同じ画質となっている。

iPhone XS/XS Maxは望遠用のカメラが搭載されているが、iPhone XRは望遠カメラが非搭載となっているためズームした時の解像感がiPhone XS/XS Maxよりも劣ってしまう。2倍ズームくらいだと拡大しないと分からないレベルかもしれないが、iPhone XS/XS Maxは専用の望遠レンズからの情報を利用することで細かいディテールまでしっかりと表現できているのに対してiPhone XRは若干ぼやけてしまっているのが分かる。

iPhone XR 2倍ズーム性能

また、iPhone XS/XS Maxの望遠カメラは人を撮影するのに適した距離・52mmという焦点距離になっているので、可愛いお子さんの日々の成長を記録するのは非常に適したものとなっている。

5倍までズームさせると画質の差がかなり出てくることになり、iPhone XRは広角カメラで5倍ズームしているのでかなりボケてしまっているが、iPhone XS Maxは望遠カメラと広角カメラのデータを組み合わせることでより綺麗にクッキリと表現することが可能となっている。

iPhone XR 5倍ズームの画質

左:iPhone XR 右:iPhone XS Max

望遠カメラを使って撮影をすることが多いのであればiPhone XS/XS Maxを選ぶことをおすすめしたいが、普段からズームすることがないのであればiPhone XRの広角カメラのみで十分だろう。

iPhone XRのポートレートモードは人に限定される

背景をぼかすことができるポートレートモードは今まではデュアルカメラを搭載しているモデルでしか使うことができなかったが、iPhone XRはシングルカメラでもポートレートモードを使うことができるようになった。

これは、被写体が人物であると認識させることで背景を上手くぼかすことができるようになったものでiPhone XSのように望遠カメラと広角カメラの視差情報を利用してぼかす仕組みとはアルゴリズムが異なる。

なので、iPhone XSはモノでも背景をぼかすことができたが、iPhone XRはモノでは背景をぼかすことができない仕様となり、人物撮影の時だけ有効にすることができる仕様に変更されてしまい人であると認識されないと「誰も検知されませんでした。」と表示される。

iPhone XR ポートレートモード

左:iPhone XR 右:iPhone XS Max

その代わり、iPhone XRのポートレートモードは寄って撮影することができるようになった。iPhone XS/XS Maxは近すぎると「離れてください。」と表示されてポートレートモードがONにならず、離れて撮影しないといけないので、このような小さなフィギュアなどを撮影すると被写体がかなり小さくなってしまう。

こちらの画像はiPhone XRとiPhone XS Maxで最大限寄って撮影したものだ。

iPhone XR ポートレートの撮影距離

左:iPhone XR 右:iPhone XS Max

iPhone XS/XS Maxは望遠カメラと広角カメラの視差データを使って背景をぼかしているため、撮影距離は被写体から70cm以上ないと撮影することができず、小さい被写体だとほとんど寄ることができない。この距離で撮影するのが限界だった。

また、望遠カメラで撮影するiPhone XS/X Maxよりも広角カメラで撮影するiPhone XRの方がクッキリとした画質で撮影することも可能となっている。というのも、iPhone XS/XS Maxの望遠カメラはf2.4と少し暗めのレンズにイメージセンサーも広角カメラよりも小さいものを採用しているためどうしても画質が落ちてしまうのだろう。

まさかの画質の逆転現象となってしまっているが、髪の毛などの細かい表現はダブルカメラのiPhone XS/XS Maxの方が一枚上手なので、人物のポートレート撮影においてはXRよりもXS/XS Maxの方が良い写真が撮れるだろう。

また、iPhone XS/XS Maxのポートレートモードは望遠レンズ(光学2倍で52mm相当)の画角となるため人物撮影ならちょうど良い距離で撮影することが可能だ。人型のフィギュアであれば人として認識させることができるので、iPhone XRの方が寄れるためブツ撮り撮影に向いているといえるだろう。

iPhone XRは背景のぼけ量を調整できる深度コントロールにも対応している

iPhone XRのポートレートモードで撮影した写真はiPhone XS/XS Maxと同じように背景のぼけ味を調整することができる深度コントロールを使うことができる。

iPhonw XR 深度コントロール調整

iPhone XS/XS Maxはf4.5が標準となっていたが、iPhone XRはf2.8が標準となっている。このように簡単にぼけ量を調整することができるのは一眼レフカメラではできない芸当となっており高度なソフトウェア処理が可能となるスマートフォンならではの機能ではないだろうか。

まとめ:iPhoneの2018年モデルはiPhone XRを選べば問題なし

iPhone XRのCPUプロセッサや広角カメラなどの基本性能は上位モデルのiPhone XS/XS Maxとほぼ同じとなっており、出来ることもほぼ同じとなっている。つまり、iPhone XSではなくiPhone XRを選ぶことで我慢しないといけないことはほとんどない。

もちろんカメラの画質をとことんこだわるのであればiPhone XRよりもiPhone XSを選ぶべきなのかもしれないが、ほとんどのユーザーはiPhone XRの性能があれば十分だと思う。

iPhone XRとiPhone XSの価格差は28,000円となっている。

  • iPhone XR(64GB):84,800円
  • iPhone XS(64GB):112,800円
  • iPhone XS Max(64GB):124,800円

28,000円という金額はかなり大きい。この資金を使ってワイヤレスイヤホンのAirPodsを買ったり、iPadを追加で買ったほうがより生活が豊かになるのではないだろうか。まあ、これを言い始めたらiPhone XRではなくてさらに低価格で買うことができるiPhone 8を選んだ方がいいのではないかという議論にもなってくるが…

いずれにしてもiPhone XRは廉価版モデルではなく押さえるところはしっかりと押さえているので何かを我慢することはないモデルといえるのではないだろうか。

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