iPhone XS Max レビュー!サイズ感、使用感の違いをiPhone X/8 Plusと比較!
Appleが2018年9月21日に新型iPhone(2018)となるiPhone XSとiPhone XS Maxをリリースした。iPhone XSは去年発売されたiPhone Xの後継機種となっており、基本的なデザインを踏襲したモデルとなっており、大画面モデルとなるiPhone XS Maxが新たにラインナップに加わることになった。
新しい画面サイズということで手にしてみたいという方も多いと思うが、そんな私もそう思っている一人だ。ということで、iPhone XS Maxを実際に購入してみたので使い勝手やiPhone X、iPhone 8 Plusとの違いなどをレビューしたいと思う。
iPhone XS MaxをメインとしたレビューだがiPhone XSの基本スペックが同じなので参考にしていただければと思う。
Contents
iPhone XS Max レビュー
iPhone XS MaxのデザインはiPhone Xと同じ
iPhone XS Maxのデザインは2017年10月に発売したiPhone Xとほぼ同じものとなっており、単純にディスプレイサイズが5.8インチから6.5インチに0.7インチ巨大化しただけ。CPUやRAMの容量、カメラのスペックなどに違いはない。
ナンバリング時代はiPhone 8よりもiPhone 8 Plusの方がRAMの容量が多かったり、カメラの性能に差があるなどのサイズだけではなくスペックにも差を持たせていたが、2018年モデルのiPhone XSとiPhone XS Maxは単純にサイズが小さいか大きいかだけの違いになっているので、ユーザーとしては非常に選択をしやすいラインナップになっていると言えるだろう。
iPhone XS/XS Maxはホームボタンを廃止して、有機ELディスプレイ(OLED)を角丸処理を施すことでベゼルレスな全面ディスプレイデザインを実現している。
限界まで広げた迫力のある大画面スタイルに
本体サイズはiPhone 8 Plusよりも数ミリ程度小さくなっているのだが、全面ディスプレイを搭載することでより大きな映像体験を得ることができるようになった。
モデル | iPhone XS Max | iPhone XS | iPhone 8 Plus |
---|---|---|---|
ディスプレイ | 6.5インチ OLED 2,688 x 1,242ピクセル(458ppi) |
5.8インチ OLED 2,436 x 1,125ピクセル(458ppi) |
5.5インチ LCD 1,980 x 1,080ピクセル(401ppi) |
サイズ | 157.6 x 77.4 x 7.7 | 143.6 x 70.9 x 7.7 | 158.4 x 78.1 x 7.5 |
重量 | 207g | 174g | 202g |
5.8インチのiPhone Xを使っていたユーザーが6.5インチのiPhone XS Maxに乗り換えをしたら「デカイ!」と思ってしまうが、iPhone 8 Plusなどの5.8インチモデルを使っていたユーザーはなんの違和感もなくiPhone XS Maxに乗り換えをすることが可能となるだろう。
6.5インチのiPhone XS Maxはかなり大きなサイズなので片手で操作することはかなり難しいが、背面パネルに採用されているガラスはアルミと違って滑りにくいので片手操作をしようと思えば可能なのだ。
また、片手操作を簡単にすることができるスマホリングを使うという手段もあるので、この大きさに慣れると意外と使えるというのが率直な感想だ。
完全な全面ディスプレイではなくフロントカメラやレシーバー部分を避けるためにノッチがあるために少々ブサイクに見えてしまうが、使っていくうちに気にならなくなるので安心してほしい。
どうしても格好悪いから嫌だという場合は黒色の壁紙を設定することでノッチ部分を目立たなくすることもできる。
高級感あふれるステンレスデザイン
iPhone XS/XS MaxはiPhone Xと同じようにサイドフレームにはステンレスを採用しており光沢のあるものとなっている。使っていくうちに細かい傷が付いてしまうことになるが、これも味になって使用期間に合わせた顔を見せてくれることになる。
iPhone XS Maxのサイドボタン(電源ボタン)は今までホームボタンが持っていた機能も一部割り当てされていることもありiPhone 8 Plusのサイドボタンよりも少しだけ大型化しておりボタンが押しやすくなっている。
ステンレスとラウンドエッジ加工のガラスを組み合わせることでつなぎ目のない滑らかな手触りを実現しているiPhone XSとiPhone XS Maxは是非ともケースを使わずに裸で使いたくなる、そんなデバイスに仕上がっているといえるだろう。
高速化したLTEと音質が良くなったスピーカー
iPhone XS/XS Maxは上下左に新たにアンテナが追加されている。これは新たにギガビット級のLTEに対応するための設計になっている可能性が高い。
それに合わせてスピーカーの穴は減っているのだが、スピーカーの音質はiPhone 8 PlusやiPhone Xと比べてもより広がりのある音質に改善されいる。
iPhone単体で音楽を聴くことは少ないかもしれないが、旧型となるiPhone 6s以前のモデルと比較すれ段違いに音質は良くなっているので、音質にあまりこだわりのない人ならBluetoothスピーカーをわざわざ接続しなくても十分に楽しむことができるレベルに達しているのではないかと思う。
なお、iPhone XS/XS Maxは3.5mmヘッドフォンジャックは非搭載でLightningコネクタに対応したヘッドフォンを使うからワイヤレスイヤホン(AirPods)を使うことになる。
Lightning変換アダプタはiPhone XS/XS Maxより同梱していないので、もしヘッドフォンジャックを使用したい場合はアダプタを別途購入する必要があるので注意してほしい。
デュアルSIMカードに対応(日本モデルはnanoSIM + eSIM)
iPhone XS/XS Maxは右サイドにSIMカードスロットが搭載しており、iPhone Xのスロットよりも若干分厚くなっている。
これは香港モデルのデュアルSIMスロットの仕様に合わせるための変更で、香港モデルではこのスロットにSIMカードを2枚を挟み込む形で装着できるようになっている。
残念ながら我々が買うことができる日本モデルはSIMカードは1枚しか対応をしていないが、eSIMによるデュアルSIMモードは使うことができるので、海外に出張に行った時に現地でeSIMに対応しているキャリアを契約をして通信をすることも可能だ。
指紋認証から顔認証に
iPhone XS MaxはホームボタンがないのでTouch IDは使うことができないがフロント上部に搭載されているTrueDepthカメラを使って顔認証機能・Face IDを使うことが可能だ。
最初は戸惑いを覚えるかもしれないが、Face IDのロック解除やApple Payによる決済の快適さに慣れてしまうとTouch IDによる認証システムに戻ることはできないと思っている。
もちろん、Face IDにも欠点がありマスクをしていると認証をすることができない、画面を横向きにした状態でFace IDを使うことができないなど、使いにくいと感じる場面はある。しかし、iPhoneで横向きに使う場面はあまりないのでマスクを常用している人以外はあまり気にしなくてもいいのではないどうか。
iPhone XS/XS MaxのFace IDはiPhone Xよりも高速に認証ができると言われていたが体感で違いはない。iOS12がiPhone XSがリリースする数日前に配信されたが、iPhone XをiOS12にアップデートしたことでiPhone XのFace IDも高速化されたのではないだろうか。
カメラの画質は大幅に向上した
iPhone XS/XS Maxは広角カメラと望遠カメラをデュアルカメラシステムを搭載しており、基本的な構造はiPhone XやiPhone 8 Plusと同じとなっている。
各モデルのカメラ性能のスペックを比較してみた。
モデル | iPhone XS Max | iPhone XS | iPhone 8 Plus |
---|---|---|---|
広角カメラ | 1200万画素(32%大きなイメージセンサー) ƒ/1.8 |
1200万画素 ƒ/1.8 |
|
望遠カメラ | 1200万画素 ƒ/2.4 |
1200万画素 ƒ/2.8 |
|
手ぶれ補正 | 光学式デュアル手ぶれ補正機能 |
iPhone XS/XS Maxはイメージセンサーが大型化し高性能なA12 Bionicプロセッサを搭載したことで、明暗差を上手く合成することができるスマートHDRに対応し画質が大幅に向上している。
特に逆光やイルミネーションなどの撮影がもの凄く強くなっているのが分かる。実際にiPhone XS MaxとiPhone Xのカメラを使って比較をしてみた。
同じ場所で同じ条件でiPhone XS MaxとiPhone Xのカメラで撮影をしてみたが、iPhone Xは空が完全に白トビしてしまっているのに対してiPhone XS Maxで撮影をした空は雲の形もしっかりと判別することができるほど綺麗に撮影できているのが分かる。
細かくみていくと提灯のライトもiPhone XS Maxで撮影した写真はしっかりと表現できているのが分かる。ここまでハッキリと表現できてしまうのは逆に不自然に見えることもあるが、カメラの設定からスマートHDRをOFFにすることも可能でOFFの状態でもiPhone Xよりも白トビを抑えることができるので、イメージセンサーと新しくなった映像エンジンのパワーは高いということなのだろう。
24時間コインパーキングの電光掲示板を撮影してみた。
どうだろうか。iPhone Xで撮影した写真は電光掲示板の周囲が白くぼやけてしまっているが、iPhone XS Maxで撮影したハッキリとクッキリとした色鮮やかな写真となっている。これがスマートHDRの威力なのだろうか。
ポートレートモードの比較もしてみた。
iPhone XS/XS MaxのポートレートモードはiPhone Xよりも精度が高くなったとしているが、そこまで差はないように思うがiPhone XS/XS Maxのポートレートモードは背景のボケ味を撮影後に調整することができる深度コントロールを搭載している。
標準はf4.5となっており深度コントロールを使うことでf1.4からf16まで背景のボケ具合を調整することが可能となっているのだ。正直なところf1.4までボカしてしまうと若干違和感を覚えてしまうので、やはりデフォルトのf4.5が一番自然なのかなと思う。
CPU・GPU・RAMの性能について
iPhone XS /XS Maxは7nmプロセスルールで製造されたA12 Bionicプロセッサを搭載している。前モデルのiPhone XやiPhone 8 Plusは10nmプロセスルールのA11 Bionicプロセッサを搭載していたが、従来比でCPUの性能が最大15%アップ、GPUの性能が最大50%アップ、最大50%少ない消費電力となっている。
Geekbench 4によるベンチマークスコアはこうなっている。
モデル | iPhone XS Max | iPhone XS | iPhone X |
---|---|---|---|
プロセッサ | A12 Bionic(7nm) (トランジスタ数:69億個) |
A11 Bionic(10nm) (トランジスタ数:43億個) |
|
コア数 | 6コアCPU + 4コアGPU | 6コアCPU +3コアGPU | |
RAM | 4GB | 3GB | |
シングルコアスコア | 4792 | 4794 | 4794 |
マルチコアスコア | 11052 | 11142 | 10125 |
GPU (Metal) |
21777 | 21216 | 15228 |
Appleが公表している通りの結果ではないだろうか。CPUの性能はさほど向上していないがGPUの性能が大幅に向上していて、さらにRAMの容量も3GBから4GBに増えていることから、VRやARといったグラフィックの処理が必要なアプリやゲームなどはより快適に動作することになりそうだ。
また、機械学習のニューラルエンジンも大幅に性能向上を果たしている。
- ニューラルエンジンのコア数:1コア → 8コア
- 演算能力:毎秒6000億回 → 毎秒5兆回
ニューラルエンジンが高性能化することで識別能力が向上する。先ほど紹介したカメラアプリのスマートHDRもニューラルエンジンの識別能力を使ってリアルタイムに状況を把握し処理をして最適な写真を作り出している。また、VRやARもリアルタイムに空間を把握する必要があり高性能なニューラルエンジンによってよりスムーズな処理をすることが可能となるのだ。
A12 BionicプロセッサはCPUとGPUの性能はあまり向上してないがニューラルエンジンの性能は9倍も向上している。つまり、Appleはニューラルエンジンの高性能化こそが今後のモバイルデバイスに必要不可欠な要素だと考えているということになる。
ニューラルエンジンは今のところiPhoneだけにしか搭載されていないが、次期iPad ProではA11X Bionicが採用されると思われるのでニューラルエンジンを使って処理をするデバイスが増えることになるだろう。ニューラルエンジンといった機械学習の概念がないIntelのプロセッサを採用しているMacシリーズはどのような進化をすることになるのか非常に気になるところだ。
バッテリー駆動時間は向上へ
iPhone XS/XS Maxはバッテリー駆動時間が従来のモデルと比較して少しだけ長く使うことが可能となっている。
モデル | iPhone XS Max | iPhone XS | iPhone X | iPhone 8 Plus |
---|---|---|---|---|
連続通話時間(ワイヤレス) | 最大25時間 | 最大20時間 | 最大21時間 | |
インターネット利用 | 最大13時間 | 最大12時間 | 最大13時間 | |
ビデオ再生(ワイヤレス) | 最大15時間 | 最大14時間 | 最大13時間 | 最大14時間 |
オーディオ再生(ワイヤレス) | 最大65時間 | 最大60時間 |
とくにiPhone XS Maxは大きな画面を搭載しているのにも関わらず、iPhone 8 Plusよりも長いバッテリー駆動時間を実現している。
実際にiPhone XS Maxを使ってみて確かにバッテリー駆動時間は伸びているように感じる。おそらく、7nmプロセスルールを採用したA12 Bionicの省電力プロセッサのおかげなのだろう。iPhone Xを長く操作していると本体が発熱していることが多いが、iPhone XS Maxは明らかに発熱量が減っているのが分かる。
耐水防塵性能はIP68等級に
iPhone XS/XS Maxの耐水防塵性能はIP67等級からIP68等級に向上している。
- iPhone X/8/8 Plus:IP67等級(深さ1メートルの水に30分間耐えることができる)
- iPhone XS/XS Max:IP68等級(深さ2メートルの水に30分間耐えることができる)
ただの水だけではなくジュースやお酒といった液体からも本体を守ることができるようになっており、食事中に誤って飲み物をiPhoneにこぼしてしまったといったトラブルにも対応することができるだろう。
少し前まではスマホを水没させてしまうと壊れてしまうのが当たり前だったが、耐水防塵性能が向上したことで、このようなトラブルでiPhoneが故障してしまって使えなくなってしまうということは今後なくなることになりそうだ。
iPhone XSを選ぶ理由とは
iPhone XSとiPhone XS Maxの端末価格は非常に高額となっており容量64GBの一番安い端末も11万円を超えてしまう。
モデル | iPhone XS Max | iPhone XS | iPhone XR | iPhone 8 Plus | iPhone 8 |
---|---|---|---|---|---|
64GB | 124,800円 | 112,800円 | 84,800円 | 78,800円 | 67,800円 |
128GB | – | – | 90,800円 | – | – |
256GB | 141,800円 | 129,800円 | 101,800円 | 95,800円 | 84,800円 |
512GB | 164,800円 | 152,800円 | – | – | – |
10月にリリースされる予定の廉価版モデル・iPhone XRなら64GBモデルが84,800円で買うことができるがそれでもスマートフォンであることを考えると高額であることには違いないだろう。
これだけの大金を果たしてまでiPhone XSやiPhone XS Maxを買うメリットはあるのだろうか。
ユーザーが何を求めるかはそれぞれ違うので端末価格が安いiPhone 8を選ぶという方も多いと思う。しかし、10万円以上のお金を出してでもiPhone XSが欲しいと思うユーザーは多くいるだろう。というのも、私もそのうちの一人だったからだ。
確かにiPhone XSは他のスマートフォンと比べる高くて買うことに躊躇してしまったが、この操作感に慣れてしまうと旧iPhoneに戻ることができないくらい快適な体験を得ることができるのだ。
2017年に登場した5.8インチのiPhone Xは次の時代を見越したモデルであったことは間違いないが、一気に新しいiPhoneを押し付けることなく旧世代の操作を残したiPhone 8/8 Plusも発売をしたが、2018年は全モデルがホームボタンを撤廃した新世代のiPhoneとなり、ホームボタンを搭載したiPhoneの新型モデルの開発は終了したことになる。(iPhone SEのようにブラッシュアップしたモデルが今後リリースされる可能性はあると思う。)
多くのユーザーに新世代のiPhoneを手にして欲しい。その思いからAppleは2018年10月に端末価格が少しだけ安くなっている普及モデルとなる6.1インチのiPhone XRを発売するのだろう。どれくらい売れるかは未知数だが、iPhone XS/XS Maxは少し高いけど新しいiPhoneは気になっているという方はiPhone XRを選ぶことで新世代のiPhoneの体験を同じようにすることが可能となるのだ。